BLOG 年中石屋
設計舎サクマサーベイ北総の代表 サクマ・ユウキが 日々の出来事や墓石のことを綴るブログです

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2021年(令和3年)3の月


 
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 3月31, 2021 コロナと復興五輪

 
 2021年も早いもので4分の1が過ぎようとしています。新型コロナウイルス感染症はいまだ収束の見通しが立っていないようで、2度目の緊急事態宣言が解除されたあとも、連日新規の感染者数が報道されています。近いうちに第4波がくるのではないかと、心配しています。(すでに宮城と大阪は入っているのでは?)

 今月には東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーも各地でスタートしました。ワクチンの接種も始まっています。こうした動きはオリンピック・パラリンピックを中止にさせないための、国内外へのアピールと既成事実づくりとしか思えません。世界中で新型コロナに感染してしまった方や、亡くなられた方。そのご遺族。感染したことで差別を受けた方もいるようです。新型コロナの対応で現場最前線にいる医療従事者の方々はもちろん、様々な立場で経済的な影響を受けている方々がどれだけいるのかと考えれば、東京オリンピック・パラリンピックの開催ありきの動きは、強引にしか思えないのです。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催へ向けて汗を流している方々もいるでしょうし、開催自体を反対するつもりはありません。むしろ、その開催を楽しみにしていた私です。しかし、それは完全な形での開催。世界中で苦しんでいる方々がいる中で(それは選手にも)、一部の人だけが参加して開催することに疑問を持っているのです。観戦に行きたくても日本に入国できない方々が、あまりに多すぎます。

 これまでのオリンピック・パラリンピックでも、世界を見渡せば貧困に苦しんでいる国々があったり、戦争に巻き込まれている方々がいたり、今回と同じように感染症の蔓延でそれどころではない方々がいたはずです。そう考えてしまうと100%参加することはそもそも不可能なのだから、今回も同じだということになってしまいますが、今回の当事国は世界規模で広がっています。

 前回の東京開催は1964年。あれから57年が経って、当時子どもだった方々が、現在孫を持つ年代になっています。親子4代・3代がそろって観戦できる予定だった今回の東京オリンピック・パラリンピック。それぞれの人生を振り返ったり、家族のつながりを考えたり、日本人にとっては、時の流れを想う大会になったはずです。そして今回は東日本大震災からの復興五輪とも言われています。中途半端な開催を見たくないというのが、正直なところです。

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 3月30, 2021 臨場感をもって伝えること

 
 今日は内業の1日。先週実施した八柱霊園での調査結果を整理しています。私は1つの墓所調査につき、平均30〜40枚程度の写真を撮影するので、手書きで記録してきた墓所の概略図やメモと合わせて、箇所ごとに分類しておくことが大事な作業なのです。

 これが、お客様への提案資料作成に活きてきます。特にお墓のリフォーム工事の場合、資料の重要度は高まります。今あるお墓が現状抱えている問題と、それを解決するためのいくつかの手段を正しく説明すること、そしてそれがお客様にわかりやすく伝わること。これは簡単なことではありませんが、お客様がこれから先のことを検討するための材料を、石屋側で準備して提供することが求められるのです。

 そのツールとして、図面や写真を用いた提案資料は欠かせません。これは、たとえ現場にいなくても、現場で直接話をしているような臨場感ある打合せをするため。むしろ、現場で断片的な口頭説明に終始するよりも、はるかに伝わります。そして、資料はあとになっても情報として残るので、お客様にとっては、その場限りの説明ではない安心感にもつながります。新型コロナウイルスの影響で対面打合せを控えるとか、そういう問題以前に、お客様の時間を無駄にしないために、内容の濃いコミュニケーションを取る必要があるのです。

 せっかく費用をかけて墓石工事をしていただくのなら、お引渡しの時に、ご施主様に「工事をやってよかった」と思ってもらいたいですし、ご家族にとって価値のあるお墓をつくりたい。これが私の願いであり使命です。

   

   

 3月29, 2021 春に想うつながり

 
 私の著書つながる墓じまい 断ち切る墓じまいの発売まで、あと1週間となりました。この本は石屋が墓じまいのことを書いたものですが、副題として「~終活世代に伝えたい家族と故郷とお墓のこと~」を添えたように、お墓を中心にした家族や故郷とのつながりがテーマになっています。

 本を書くきっかけになったのは、昨年から続く新型コロナウイルス感染症の拡大。外出自粛などの様々な行動制限を受ける中で考えた家族と故郷のこと。帰省できない故郷、リアルに会えない家族。東京オリンピックが開催されているはずだった昨年の夏、悔しい思いをした人はたくさんいたと思います。

 終活に関心の高い団塊世代の故郷は、時代とともに変化しています。いくつかの統計データを参考にしながら故郷が抱える問題を見ていくと、それはお墓の問題にも直結することがわかります。

 先祖代々のお墓は家族の歴史そのものです。先祖がいたから自分がいる。その当たり前すぎて日常で忘れがちな素晴らしい家族のつながりを、お墓参りで体感するのがお墓です。お墓を考えることは家族や故郷とのつながりを考えることにもなるのです。

 墓じまいを多少なりとも考えてしまう終活世代に向けてのメッセージ的な本ですが、自分のルーツにも通じるお墓という場所は、時に人生の困難を乗り越える力を与えてくれる場所。この春、進学や就職などで故郷を離れて新生活をスタートさせる方々にとっても、お墓の価値を再考できる一冊になっていると思いますので、よろしくお願い致します。

 写真はサクマサーベイの事務所がある取手の街。今春、この街を出ていく人もいれば、この街にやって来る人もいるでしょう。早いもので、桜が舞う頃はもう4月です。

取手駅東口からの駅前風景利根川の土手と取手市街
長禅寺の桜旧水戸街道取手宿の町並み
   

   

 3月28, 2021 石にも旬がある

 
 栃木に住む両親から、いちごが届きました。一大産地の栃木県でも、その旬は終盤になりつつあるようです。品種改良や栽培技術の革新により、年間を通じて収穫、流通するようになった農産物はたくさんありますが、自然の恵みだけに「旬」を意識して、その季節感を味わいたいものです。

 食べ物には旬がありますが、墓石として加工される御影石(花崗岩)などの石材はどうでしょうか? 季節に関係なくいつでも採れるので、旬などあるはずがない、と思われるかもしれませんが、そうとも言い切れないのです。

 農産物のように季節による旬ではありませんが、それぞれの原石は安定して採掘されている期間もあれば、様々な事情により採掘が休止されることもありますし、採り尽くして閉山となることもあります。特に外国産の石は変化が激しく、その国の政治情勢や環境問題も絡んでくるため、動向を常に注視しながらの取引となります。

 こうした観点は、石が採れるか採れないかという問題になりますが、現在も採掘され市場に流通している石種でも、その時期によって、石目(粗い・細かい)や色(薄い・濃い)が変化するため、石には旬があるとも言えるのです。旬となるのは、その石が持つ特性のうち、良質な部分が出ている時期です。

 なぜ同じ石種なのに、時期によって違うのか? これについては以前にもブログに少し書きましたが、原石を採る場所が変化するためです。石は地中に埋蔵されているため、地表に近いところから掘り進め、年数をかけて徐々に地下深くへと掘り下げていくことになります。石の成り立ちはマグマをはじめとする地球の活動に起因していますが、その位置により鉱物の組成が変わったり、その含有率が変わったりします。また、その後に受けた自然環境の影響もあるでしょう。同じ石種であれば、通常そこまで大きく石の特性が変わるわけではありませんが、石種によっては、採掘時期による見た目の違いが、はっきり出てくることもあります。

 石も自然の恵み。そう考えれば旬があっても不思議なことではありません。じつは、お墓づくりで結構大事なポイントだったりします。

栃木から届いたいちご
   

   

 3月27, 2021 石仏と桜の風景から

 
 昨日の続きとなりますが、写真は八柱霊園での現場調査からの帰りに、取手市内で見かけた石仏と桜の風景を撮影したものです。庚申塔や二十三夜塔が並ぶ神社の境内に、しっとりとした印象で花をつける桜の古木。石仏と桜の組み合わせはよく似合います。

 庚申塔や二十三夜塔は、「講」と呼ばれる宗教的な集まり(会合)のなかで建てられたもので、日本全国に見られます。講は民俗信仰における宗教行事でありながら、地域社会のつながりを強めることにもなりました。今でいう自治会や町内会などの地縁団体に近いものがあると思います。

 取手は東京のベッドタウンになりましたが、まだまだ農村地域としての性格を併せ持った街です。一般的に、農村地域では人と人とのつながりが都市部よりも強固であると言われますが、それは助け合いながら生活していく地域のコミュニティ。少子高齢化といった社会問題もあり、その機能を維持していくことは全国的な課題ですが、近年多発する豪雨による大規模災害や、10年前の東日本大震災は、地域とのつながりの大切さをあらためて教えてくれました。それは農村部に限らず、生活の利便性が高い都市部でも同じです。

 お墓もそうですが、宗教的な信仰の象徴として、そして、家族や地域とのつながりの場で、人はどうして石を建ててきたのでしょうか。親から子へ、歴史はその繰り返しで繋がれてきました。時代を担う子のために親としてやるべきこと、子へ引き継ぐこと。この古くから続く石の文化を学ぶことは、これからの社会の在り方を考えることにもなりそうです。

取手市内の石仏と桜の風景
   

   

 3月26, 2021 八柱霊園さくら風景

 
 現場調査のため八柱霊園へ。ちょうど桜の季節を迎えた快晴の朝、霊園南側に沿って桜並木が続く「さくら通り」は、まさに桜のトンネル状態(写真上)で、さすがは千葉県屈指の桜の名所でした。交通量の多い道なので、ここの写真を撮影するなら早朝がおすすめ。私が撮影したのは8時台でしたが、まだなんとか桜メインの写真を撮ることができました。

 霊園内の桜も見頃となり、あちらこちらで淡いピンク色の風景に染め上げています。スケールの大きい公園墓地の本領発揮と言わんばかりに、カメラ片手に花見をしている方の姿も。やはり桜は多くの人にとって特別に感じるものなんだなと。日本の美しき春の象徴的な風景です。

 歴史ある霊園の歴史ある桜の木だけに、その枝ぶりも趣きがあり、春が来た歓びを表現しているかのような躍動感すら感じさせます(写真下左)。芽吹き始めた霊園内の緑とのコントラストも美しく(写真下右)、今日はそんな桜の風景に囲まれながらの墓所調査となりました。

 調査は、お客様がお彼岸のお墓参りで気になったという箇所に対しての状態確認。もちろん、石屋の視点を加えて墓所全体を見てきました。現状をお客様にご報告して、今後の墓守についての検討事項を共有することにしたいと思います。

八柱霊園紙敷門付近のさくら通り
八柱霊園内の桜桜のある霊園風景
   

   

 3月25, 2021 石材店ごとに違う提案

 
 同じ場所にお墓を建てる、あるいは同じお墓をリフォームするといっても、石材店によって、その提案内容は違います。ご施主様が墓石工事のご希望として全く同じ内容をそれぞれの石材店に伝えたとしても、その受け取り方や設計思想、事業体制などの違いによって、別の提案になるわけです。

 いわゆる相見積もりの場合は、つい工事一式の金額だけに目が行ってしまいがちですが(明らかに価格設定ラインが異なる石材店も存在するかもしれませんが...)、提案内容の違いが工事費の違いにもなってくるので、検討する際は工事費を決めている工事内容の詳細を理解する必要があります。

 石材店による提案の違いは、どこから生まれてくるのでしょうか。例えば、無意識の場合も含めて石材店を選ぶときに店構えやホームページの雰囲気を参考にしているかと思いますが、その雰囲気をつくっている大きな要素が経営者の考え。お墓を商品として販売する営業マン感覚が強い経営者もいれば、お墓を建て上げるという工事請負の部分が強い職人肌の経営者もいるでしょう。

 そして私はというと、お墓はご家族とつくりあげることに意味があるとの考えから、設計の部分を重視したプランナーの立ち位置で石屋をやっています。それはゼロから形づくるということ。お墓を物として捉えることに抵抗があるので、展示品販売や既製デザインのカタログ販売はしたくありませんし、伝統や慣習を言い訳に何となく従来のやり方を続けることもしたくないのです。

 石材店それぞれの考えで、それぞれのやり方があります。どれが良くてどれが悪いとかではなく、石屋として自分の信念を貫いてお墓づくりをすることが大切だと思っています。石材店選びをされる方は、それぞれの石屋が貫く信念を探ってみてはいかがでしょうか。

 写真は、私が石材業界に足を踏み入れた茨城県桜川市の風景。筑波山の北麓にある石の街です。

日本三大石材産地の一つ茨城県桜川市の風景
   

   

 3月24, 2021 機能を発揮させる設計

 
 墓前に2~3段の階段を設けているお墓は、従来の標準的な外柵では多く見られるタイプです。土盛り高さが1尺~1尺5寸(約30cm~45cm)とすると、階段の蹴上げ(1段あたりの高低差)は、5寸(約15cm)程度でしょうか。階段を上がったところに石塔へと通じる敷石が伸びる設計は、シンボルである石塔を印象的なものとし、また、お墓参りの時に階段を「上がる」ことで、そこを舞台のような、特別な場所(狭義での墓域)として認識させる効果もあります。

 最近ではバリアフリーを考慮して、階段のないフラットなお墓(石塔の手前まで土盛りをしない構造)も増えていますが、階段のあるお墓の方がお墓らしいと感じる方もいるでしょう。階段を設ける場合は、蹴上げの高さはもちろんですが、踏面の奥行も大切です。墓地面積(特に区画の奥行寸法)の制約を受けて、写真のように足が完全にかからない階段も多く見受けられます。

 区画全体の奥行寸法から、根石(土留め)の厚みや納骨室(カロート)の奥行寸法などを引き、しっかりと足のかかる階段を設置できるだけの寸法が確保できるのであれば、階段構造の外柵も検討できます。階段の踏面が十分に確保できないのであれば、中途半端に設置するのではなく、階段のないフラット構造のお墓に方向性を定めることにもなり得ます。面積にもよりますが、一般的には間口より奥行の長いお墓の方が、階段構造に適しています。

 設計に中途半端はよくありません。どんな設計でも、その一つひとつに意味がなくてはなりません。なぜなら、何らかの機能を発揮させるために、設計に取り入れるからです。どちらかを選択しなければならない場面も出てきます。その時、両方少しずつ取るのではなく、お墓づくりのテーマに立ち返って、どちらを取るか決断していきます。「どんなお墓にしたいか」という揺るぎないテーマを持ったご家族でしたら、きっと素晴らしいお墓になるでしょう。

踏面が不十分な墓前の階段
   

   

 3月23, 2021 不安を安心に

 
 今日で彼岸明けとなります。お墓参りをされて、お墓で気になった箇所はありませんでしたか? 気になる箇所にはその大きさもありますが、すぐに修繕が必要な緊急性が高い箇所もあれば、今後のご家族とお墓のことを考えて、リフォームを検討していくような、緊急性は高くないけれど将来的な不安を抱える箇所もあります。

 この緊急性の有無を確認したり、将来のお墓づくりのイメージを持ったりすることで、漠然とした中での不安が、安心につながります。設計舎サクマサーベイ北総では代表自らが、石屋として、お墓づくりプランナーとして、専門家の目線から「お墓の診断」を承っております。公営霊園であれば、建てた石材店は問いません。どちらの石材店で建てたお墓でも、診断を承ります。(※民営霊園は指定石材店制度があるため承ることができません。) 診断費用は、都立八柱霊園のお墓は無料、その他霊園はお問い合わせください。

 最近特に気になることと言えば、地震です。2月13日深夜の福島県沖最大震度6強、そして彼岸中の3月20日夜の宮城県沖最大震度5強の地震。10年前の東日本大震災と同じような地域で、比較的規模の大きな地震が続いています。お墓は石で出来ています。接着部分の目地が劣化し、接着強度が落ちていると、地震で傾いたり外れたりする恐れがあります。これが誰もいない時間帯にそのお墓の中だけで被害が出るならまだしも、お参りの時に倒れて人的被害が出たり、隣のお墓に倒れて物損被害が出たりすると、損害賠償責任が生じてしまう可能性もあります。

 部材を手で揺すってみた時に、すでにぐらついているようであれば、緊急性が高い箇所と言えるでしょう。不安を抱えながら放置しておくよりも、石材店などの専門家に早く診てもらい、不安を安心に変えてほしいと思います。修繕した方がよいのか、あるいは応急処置として危険箇所の除去にとどめておくのか、これは修繕費用にも影響することですので、ご家族様と相談したうえで適切な処置を決めていくことになるでしょう。

外柵の割れと傾き石塔目地の劣化
   

   

 3月22, 2021 線香から考える文化の継承

 
 昨日の記事で線香のあげ方に触れましたが、お墓参りで線香をあげる意味はどこにあるのでしょうか。「線香」と書くだけあり、香りに意味がありそうです。調べてみると、お香はパミール高原で生まれたと考えられており、それがインドに伝わり、仏教と相まって発展したそうです。これは紀元前の話です。やがて仏教とともにインドから中国、そして日本へ。日本に仏教が伝来したのは538年(日本書紀では552年)、香りの文化はそれから今日に至るまで仏教と深いかかわりを持ってきました。

 あの細長い線香が生まれたのは、それから時を経た1500年~1600年代頃と考えられており、少なくとも江戸時代の初期にはあったようです。線香を燃焼させたときに出る香りと煙。線香をあげる意味はこれにあるようです。

 まず香り。これは食べ物と同じように、故人にお供えする意味を持っています。もともと「香」の字は「黍(キビ)」と「甘」が合わさったものだと言われているそうで、お供えする意味があることにも頷けます。そして煙。これはお参りに来た人を清め、浄化させてくれるものであるとともに、仏様や故人とつながるかけ橋のような役割があるそうです。たしかに、立ち上る煙は天へと向かっています。

 さて、線香にもいろいろあります。一般に広く使用されている線香は、タブノキの樹皮などを基材に、数種類の香木をブレンドしているようですが、お墓参りなど屋外で使用する線香には、スギの葉を原料にした煙の多いタイプもあります。どの線香も、原料の配合により線香の色や香り、さらには煙の量や燃焼時間も決まってきます。ここに職人の技と、線香の可能性があるのです。

 お墓参りで何気なくあげている線香。しかし、もとを辿れば紀元前にまで遡る歴史があります。私としては、どんなにテクノロジーが発展しても、日本人が古来大切にしてきた文化的なふるまいや暮らしを取り入れた生き方をしたいと思っています。もちろん文化なので、そこには時代に合わせた工夫が必要になります。煙の少ない線香や、香り豊かなアロマテラピーとしての線香は、その一例でしょう。

 日本独自のお彼岸文化に見られるように、お墓もその文化的な生き方を体現する一つの場所です。石屋として時代に合わせたお墓づくりの提案をすることが、時代に受け入れられる条件であり、それが文化の継承につながるのだと。お墓参りに欠かせない線香を手にしながら、そんなことを考えています。

線香の歴史からお墓文化の継承を考える
   

   

 3月21, 2021 線香のあげ方

 
 お墓参りで欠かせない線香のあげ方について。仏教式のお墓であれば、どの宗旨宗派でも墓前に線香立や香炉などが置かれ、お墓参りの時に線香をあげているかと思います。線香をあげる時に、立てていますか、それとも横に寝かせていますか。

 浄土真宗や日蓮正宗など一部の宗派を除いて、仏教では線香は立てるものとされています。その本数や立て方も宗派によって決まりはあります。写真左のような「線香立」が墓前にあるという方も多いかと思いますが、これはこうした仏教の考えによるもので、かつては線香立を置くことが主流でした。

 しかし、仏壇と違って屋外にあるお墓。雨の日にお墓参りをすることがあるかもしれませんし、お墓参りの直後に雨が降ってくるかもしれません。また、線香の燃焼後の灰によって周囲の墓石が汚れてしまうこともあります。そこで現在主流の「香炉」(写真右)が出てくるわけです。香炉は石をくり抜いてつくられており、雨除けになる構造。風の影響も抑えられます。さらに、錆びないステンレス製の線香皿を中に設置することで、次回お参りに来た時の掃除もしやすくなります。

 線香立が墓前にあるにもかかわらず、それとは別に線香皿だけを用意して、水鉢の上や拝石の上に直接置いてしまっているお墓も。たしかに、ご家族でお参りに来て線香をあげる場面を考えたとき、順番に数本ずつ線香をあげるのであれば、線香皿に横にするあげ方が適しているでしょう。線香は立てるよりも横にした方がお墓参りしやすいということは、多くの方が感じているのではないでしょうか。しかし、線香を横に置くのであれば、その機能を十分に果たせるように香炉を用意したいものです。

 お墓のリフォームに合わせて、線香立から香炉への切り替えをご希望される方は少なくありません。線香を上げて故人を供養したいという気持ちを大前提に、お墓参りのしやすさと宗教的な考え方のバランスを整えていくことが、負担の少ないお墓にするポイントになります。これは線香立に限りませんが、どういうお墓づくりをしていくか、ご家族で価値観を共有すること、そして私たち石屋がそれに応えられる提案をすること。これに尽きるのです。

線香を立ててあげる線香立線香を横にしてあげる香炉
   

   

 3月20, 2021 墓地の東向き・西向き

 
 今日は春分の日で、太陽が真東から昇り、真西に沈む日。そして、仏教の考えでは西の方角に仏様がいる極楽浄土(彼岸)があるということは先日のブログにも書きましたが、これを「西方浄土」と言います。春分の日は彼岸との距離が最も縮まるということで、お彼岸にお墓参りをする風習につながっています。今日は真西に沈む夕日を拝めれば...と思っていましたが、関東地方はあいにくの曇り空でした。

 お彼岸に入って今日で4日目。近くの墓地を通り掛かりましたら、真新しい綺麗な供花がお墓に並び、お彼岸らしいお墓参りの風景が見られました。ところで、霊園や墓地を構成しているそれぞれの区画の方角(向き)を意識したことはありますか。霊園によっては東向きと西向きの区画とで、永代使用料に差が生じていることもあります。これからお墓を建てようと、霊園見学へ行った時、同じ面積なのにどうして東向きの方が高い設定になっているのか、疑問に感じたことがある人も少なくないと思います。

 じつは、ここに西方浄土の考えがあるのです。東向きの区画では、建てたお墓は東に向きます。つまり、墓石の後ろ側が西の方角。お墓に向かって手を合わせた時に、その方向には仏様がいる極楽浄土があるのです。永代使用料が高く設定されている場合、その根拠は大抵これだけだと思われます。

 西向きの区画にお墓を建てると、極楽浄土を背にしてお参りすることになるので、仏教的にNGなのかと言えば、そういうわけではないと思います。宗教法人が経営する民営霊園でも、東向きの区画があれば、西向きの区画もあります。仏教的にNGならば、宗教法人が西向きの区画をつくることはしないと思います。また、西向きにお墓を建てることは、お墓の中から見れば、常に極楽浄土を向いていることになります。戒名を授かり仏の弟子となった故人が、仏様の方を向いていると考えれば、一つの筋が通る説明にはなります。

 都市部の霊園では土地の制約から、区画数を確保するために難しいと思いますが、茨城県や栃木県の霊園では、区画1列ごとに通路を設け、区画の向きを統一しているところもあります。ほとんどの区画が概ね東向き、あるいは南東向きで構成されている公営霊園も。宗教とは無縁の公営霊園であっても、地域に残る慣習を考慮し、仏教の西方浄土の考えを意識しているのではないかと、感じさせるところでもあります。写真は、同じ向きでお墓が建てられている栃木県壬生町の壬生聖地公園の例。

お墓の向きが統一された霊園のイメージ
   

   

 3月19, 2021 ぼたもち

 
 昨日の記事に添付したルート案内図ですが、多少手を加えて、サクマサーベイのウェブサイト内にある「八柱霊園お墓参り情報」のページにも掲載しましたので、ご活用いただければ幸いです。

こちらからどうぞ→https://sakuma-survey.com/information.html

 今日もお彼岸にちなんだものを。春のお彼岸の食べ物に「ぼたもち」があります。おはぎではありません、ぼたもちです。昨日スーパーマーケットへ行きましたら、和菓子コーナーに並ぶのは「おはぎ」ばかり。なぜか、ぼたもちの文字はありませんでした。

 もち米に餡を合わせたお菓子ということでは全く同じ、おはぎとぼたもち。つぶ餡かこし餡か、あるいは小判型か丸型か、という区別もあるようですが、これは地方によって様々あるでしょうし、一概には言えません。昔は、収穫したての柔らかい小豆を使う秋のおはぎはつぶ餡で、保存して皮が硬くなった小豆を使う春のぼたもちはこし餡にしていたようですが、保存技術は時代とともに進歩し、今では年中美味しいつぶ餡が食べられています。しかし、見た目の違いは多少あったとしても、春のぼたもち、秋のおはぎという呼び名は、いつどこへ行っても変わらないはずです。

 ぼたもちの由来は牡丹の花、おはぎの由来は萩の花。同じ和菓子でも、季節の移り変わりに合わせて呼び名を変える美しき日本の文化が、本来この和菓子にはあるのです。これはぜひ受け継がれてほしいものです。ちなみに小豆の餡にも意味があり、小豆の赤が魔除けや長寿を願う色だということで、小豆餡のぼたもち、おはぎが作られるようになったそうです。

 お彼岸にお墓参りをする風習も、日本独自の文化。春のお彼岸では、ご先祖様に「ぼたもち」をお供えして、供養されてはいかがでしょうか。

春のお彼岸といえば「ぼたもち」
   

   

 3月18, 2021 第4のルート

 
 お彼岸に入り、昨日今日と穏やかな日が続いています。まさに絶好のお墓参り日和。サクマサーベイとの関わりが深い八柱霊園にも多くの方が見えているようで、先ほどもお参りに来られている方からお電話をいただきました。

 さて、八柱霊園は都立霊園ということで、東京都内からお参りの方が多い霊園ですが、お彼岸時期に悩まされることと言えば、道路渋滞でしょう。特に霊園周辺の道路は元々交通量が多い道だけに、霊園出入り口付近にお墓参りの車が集中すると、身動きが取れなくなってしまうことも。霊園内の車道も混雑します。

 八柱霊園には門が8箇所ありますが、車で通行できる門は北側の2箇所(東門・西門)と、南側の2箇所(南門・南中央門)に限られています。お墓参りの場合は、手桶(バケツ)やほうき、剪定鋏、供花など、持ち物を考えると、どうしても車の方が便利に感じてしまいますが、渋滞のせいで予定が組めなくなってしまったり、身体的な負担が増えてしまうのであれば、気分を変えて、電車でお墓参りへ行くのもアリではないでしょうか。

 八柱霊園に電車でアクセスするのであれば、通常は①松飛台駅②東松戸駅③八柱駅(新八柱駅)のどれかとなりますが、この第4のルートでは新京成線の五香駅で下車します。霊園の南東エリアにある松飛台門や南門に近い場所にお墓をお持ちの方で、新京成線を利用される方に便利なルートです。

 五香駅西口に発着するバスは、松飛台駅経由・紙敷車庫行き。このバスに乗り「松飛台駅入口」のバス停で降りると、目の前が霊園南東角の松飛台門となります。さくら通りを少し歩けば、南門もすぐ近く。八柱駅からのバスを利用するよりも、お墓までの歩く距離が短くて済みます。また、わざわざ新鎌ヶ谷駅から北総線に乗り換えて松飛台駅を目指すよりも料金が安く済みます。ちなみにバスの本数は、日中であれば1時間に2本程度です。東京方面の車の流れと反対方向からアクセスするため、八柱駅~東松戸駅間のバスよりも渋滞の影響を受けにくいルートでもあります。

 自作の簡単なルート案内図を載せておきますので、ご参考までにどうぞ。

最寄り駅から八柱霊園までのルート案内
   

   

 3月17, 2021 彼岸入り

 
 今日は彼岸入り。お墓参りを計画されている方もたくさんいることと思います。関東地方は天候にも恵まれています。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるとおり、今朝通りがかった松戸市内を流れる新坂川沿いの桜並木では、桜の開花が始まっていました(写真)。同市にある都立八柱霊園とその周辺も、これから桜の季節となります。

 ところで、お彼岸になぜお墓参りをするのか、ということについて少々。春のお彼岸は春分の日と、その前後3日間を含めた期間です。春分は昼と夜の時間がほぼ同じになり、太陽は真東から昇り真西へ沈みます。西は仏教で言う極楽浄土のある方角。極楽浄土(彼岸)を想いながら、お墓参りをして故人を供養するようになったとの説があります。

 彼岸の対義語は此岸(しがん)で、生きている私たちがいる現世の世界。そして、彼岸と此岸の間には大きな川が流れています。煩悩から解き放たれた者だけが、彼岸へと渡って行くことができるという考えです。悟り(彼岸)の境地に達するのです。お彼岸は、仏様のいる彼岸との距離が最も縮まるときでもあります。

 私としては、煩悩渦巻く現世において降りかかる様々な試練を乗り越えるために、忙しい日常の中にあっても、お墓参りをして故人と向き合うことは必要な時間だと思っています。

 また、お墓参りは故人を供養するとともに、お参りする人が故人に近況報告をする場にもなります。特に、春のお彼岸時期は進学や就職などでこれから新生活を始めようとする人が多い季節。そう考えれば、なにも仏教の方だけではなく、他の宗教を信仰する方も、3月にお墓参りすることは意味がありそうです。皆様、よいお墓参りを。

桜が開花した松戸市内
   

   

 3月16, 2021 面積を最大限に活かす

 
 昨日の続きです。お墓参りで「もっとこうだったら…」と感じる箇所を見ていこうと思います。例えば、墓所内の草取りをしようとしゃがんだ時に「もっと広ければやりやすいのに」と感じたことはありませんか。体勢を変えたときに、石にぶつかって痛い思いをした経験のある方もいるかもしれません。

 写真は間口2m×奥行2.5mの墓所で、八柱霊園ではよく見られる、昭和期に建てられた一般的な構造のお墓です。周囲を羽目が囲み、手前中央に階段、その両脇に植栽が配置されています。その構造は見慣れたもので、特に違和感はないかと思いますが、よくよく考えてみると、お参りする人が出入りできる階段の部分が、全体の間口寸法に対してどうなのか、ということです。写真の墓所の場合、階段幅は約63cmで、全体間口の3分の1にも満たない幅。1人分のスペースしかありません。

 中央に階段を設けて、その両脇に植栽。お墓といえばこういうものだと言わんばかりに、当時は同じスタイルでお墓が建てられていました。まるで工業製品のような量産体制。お墓参りのしやすさよりも、お墓としての体裁(画一的な標準形式)を整えることを優先していたのでしょう。

 確かに、ひと昔前までは周りのお墓を気にしている方も多かったようです。個性的な考えが受け入れられにくかった時代は、決まりきった形に落ち着くこと以外、考えられなかったのかもしれません。お墓とはこういうものだという固定概念です。(同じデザインのお墓が並ぶと霊園の景観が統一される側面もありますが、話がずれてしまうのでここでは触れません。)

 しかし、お墓は故人を供養するために、家族や親戚が集まる場所。家族がそろってお墓参りをしたり、回忌法要を営んだりします。建てた後のお墓との関わりを考えた時に、墓前のスペースは広々としていたほうがよさそうです。

 面積に余裕があれば設計の自由度は高まりますが、どんな墓地であっても、墓地の間口・奥行それぞれの寸法に合わせて、柔軟に考えていく必要があります。言うならば、面積を最大限に活かす設計。そこにはお墓の外観と機能性、そして使用する石材の量、すなわち墓石工事費とのバランス感覚も大事になるのです。

墓前が窮屈な昭和期のお墓
   

   

 3月15, 2021 先行予約スタート & リフォームの起点

 
 すでにお伝えしましたように、私の著書『つながる墓じまい 断ち切る墓じまい ~終活世代に伝えたい家族と故郷とお墓のこと~』は4月5日に発売となる予定ですが、これに先立ち、本日からAmazonのオンラインストアで予約ができるようになりました。よろしければ、こちらからどうぞ。

 さて、お墓参りでこんな経験はありませんか。例えば写真のような場面。お墓に積もった落ち葉を取りたいのに、狭くて手が届かない。特に石塔の後ろは塔婆立や羽目(囲障)との隙間がわずかしかなく、掃除がしづらい箇所ではないでしょうか。加えて植栽などもあればなおさらです。逆に言えば、このわずかな隙間があるからこそ、風で飛ばされた落ち葉が溜まりやすいのです。

 それぞれ霊園には工事規定が存在します。都立霊園では小区画を除いて囲障の設置が定められており、さらに羽目に塔婆立を組み込むことが原則認められていません。そのため、石塔の後ろが狭くなってしまいがちです。けれど、こうした工事規定を順守した上で、掃除しやすいお墓をつくることは十分に可能なのです。

 経年劣化による損傷や傾きなどの修繕もありますが、今、ご家族の代替わりのタイミングなどで、もっとお墓参りしやすいお墓にリフォームしたいと考える方がいます。その背景には、社会環境の変化によりお墓参りに頻繁に行けなくなってしまったということが挙げられるかと思います。お参りの間隔が空いても、次に来たときに安心できるお墓が求められているのです。

 石屋として品質の高いお墓をつくることは当然とされることですが、品質には良質な石材、丁寧な施工といった面だけではなく、その前提として建てた後のことまでを考えた「設計」の品質もあります。どうすれば落ち葉が溜まりにくいお墓になるのか、どうすればお参りのときの掃除が楽になるのか。墓地の区画寸法や、周囲の環境に合わせて考えていきます。私としてはその作業が、とても充実した時間なのです。

 落ち葉の掃除以外にも、お墓参りをしていて「もっとこうだったら」ということがあるかと思います。それがリフォームの起点になります。もしかしたら無意識な部分もあるかもしれませんが、それが何となく感じる負担につながっている可能性はあるでしょう。 言われてみればそうかもしれない、という点をもう少し書きたいところですが、長くなりますのでこの続きはまた次回に。

落ち葉が溜まりやすい石塔後ろの隙間
   

   

 3月14, 2021 水鉢の掃除

 
 仏教式のお墓で、浄土真宗以外のお墓であれば、お墓に水鉢が置かれていることが多いかと思います。水鉢には水を注ぐために皿の部分が加工され、凹んだ形状になっています。現在は磨き加工で皿の部分をつくることが一般的ですが、昭和期に建立されたお墓などでは、皿の部分が磨かれていない水鉢もたくさんあります。

 磨かれていない水鉢の皿の部分は、雨水の影響などにより水垢が付着し、石材の変色につながるケースも目立ちますが、お墓参りの掃除で目立たない範囲まで汚れを落とすことができるかもしれません。

 使用するのはヘッドが小さめのブラシ。歯ブラシで構わないと思います。下に3枚並べた写真が、歯ブラシで汚れをこすり落とした時の変化です。ここまで出来れば十分ではないでしょうか。注意していただきたいのは、ブラシでこすり落とせるのは、磨き加工ではない(手で触った時にざらざらしている)水鉢の皿の部分だけです。磨き加工の部分で同じことをやると、石材表面に傷がつく恐れがあります。磨き加工の部分は、水を含ませた柔らかいスポンジで汚れをふき取ります。

 電車でお参りに行かれる方も、歯ブラシ1本くらいであれば、そこまで荷物にならないかと思います。このように、事前にお墓の状態をイメージして、必要になりそうな道具を持参すると、お墓の掃除は格段にしやすくなります。

 その際に考慮したいのが季節感。春のお彼岸であれば、草取りの優先度は高くないと思いますが、雑草対策をするなら今のうちに、となるわけです。砂利の状態がよくなければ、補充したり交換したりする新しい砂利の用意も必要になるかもしれません。剪定鋏を持参して、葉の少ないうちに植木の剪定をすれば、切った枝葉の処分がラクかもしれません。そろそろお彼岸に向けて、お墓参りの準備を進めてみてはいかがでしょうか。

水鉢掃除の作業前水鉢掃除の作業中水鉢掃除の作業後
   

   

 3月13, 2021 花立の掃除

 
 写真は昨日の八柱霊園、ひょうたん道路の様子です。もうすぐ春のお彼岸ですが、その直前の時期、そして曇り空ということもあり、お墓参りに来ている方は非常に少なく、とても静かでした。さて、そのお彼岸が近づいているということで、お墓参りのことについて、書いていきたいと思います。

 まずはお墓参りで欠かせない花立の掃除について。花びらや葉が付着したままにしておくと、石材変色の原因にもなりますので、お参りの時に花立の掃除は欠かせません。花立は土台となる石の部分と、ステンレスなどでできた花筒の部分とで構成されています。石の部分は傷がつかないようにスポンジなどを使って水洗いし、最後に柔らかい布で拭き上げるときれいに仕上がります。この時、石材の変色を防止するために、洗剤の使用は厳禁です。また、花立の石は周りの石と接着されていないので、動かそうと思えば動かせてしまうのですが、指を挟んだり、石がぶつかって欠けたりするのを防ぐためにも、極力動かさずに掃除をした方がいいと思います。

 花筒部分は取り外しができるタイプと、できないタイプとがあり(現在の主流は取り外し可能)、取り外しできるタイプには、花筒を回転させて取り外すネジタイプと、持ち上げるだけで取り外せる落し込みタイプとがあります。

 取り外しができる花筒であれば、取り外して水洗いします。この時に、ホームセンターなどで販売されている細長いコップの底などを洗う時に使う「柄のついた食器洗い用スポンジ」を使うのがおすすめです。下に3枚並べた写真のように、あっという間に汚れを落とすことができます。取外しができない花筒の場合は少々厄介ですが、新しい水を花筒に注ぎながら、やはり同様のスポンジなどで中をこすり、スポンジで汚れた水を吸水します。

 ちなみに、取外しできない花筒の場合でも、石材店に依頼して取り外しができるネジタイプに交換したり、石に穴あけ加工をして落し込みタイプに変更することは可能です。前回のお参りでお供えした花はやがて枯れ(仕方がないことです)、花筒や石に花びらや葉が付着したり、花筒の中に残った水から臭いが出たり、ぬめりが付着したりと、花立周りはお墓参りの時にどのお墓でも共通して掃除をする必要がある箇所です。きれいな花立にきれいな花を供えて、故人を供養したいものです。

八柱霊園ひょうたん道路の様子
花立掃除の作業前花立掃除の作業中花立掃除の作業後
   

   

 3月12, 2021 『つながる墓じまい 断ち切る墓じまい』

 
 告知となります。このたび、私が書き下ろした本『つながる墓じまい 断ち切る墓じまい ~終活世代に伝えたい家族と故郷とお墓のこと~』が、日本橋出版から4月5日に発売されることになりました。

 つながりあって生きている。東日本大震災から10年、そして昨年からの新型コロナウイルス感染症を経験し、改めてそう思います。家族や故郷とのつながりを考えた時、その中心にお墓があります。お墓は、亡き大切な人と向き合える場所であると同時に、人生の困難に直面したとき、生きる意味を確かめる自分のルーツとなる場所。日本人は古の時代からお墓を建てて供養を大切にしてきました。しかしながら、ここにきて「墓じまい」という言葉が誤解を含めながら社会に広まり、お墓を手放そうとする人、した人が出てくる時代になりました。

 「子どもに負担をかけたくないから」という理由で墓じまいをして、先祖の遺骨を「ご家族の代わりに寺が供養します」という永代供養墓へ納めてしまう人。承継者(子ども)がいるにもかかわらず、都合のよい理由を立てて実行される供養放棄的な墓じまい。もちろん、墓じまいがすべて悪いわけではありません。これからも供養を続けるために行なう、ご家族の負担軽減を目的とした改葬は素晴らしいことだと思います。しかし「お墓は子どもにとって迷惑になるもの」と一方的に判断して手放す墓じまいは、これから人生を歩んでいく子や孫に、大きな損失を与えてしまうことにもなりかねません。

 終活世代(団塊世代)の子ども世代として、そして、お墓づくりに携わる石屋として書いた「お墓の価値を再考する一冊」になっています。よろしくお願い致します。


書籍概要は日本橋出版の公式ウェブサイトで公開されています。
https://nihonbashi-pub.co.jp/news/140

本書はAmazonからご購入いただけます。現在、ページの開設準備中です。

つながる墓じまい 断ち切る墓じまい 表紙イメージ
   

   

 3月11, 2021 2つの相馬のつながり ~震災から10年~

 
 サクマサーベイの事務所がある取手を通る水戸街道は、江戸時代に主要な脇往還として機能を果たし、のちに岩城相馬街道と合わせて陸前浜街道となりました。東京ー仙台間の海岸ルートとして、現在の国道6号線の礎になった道。江戸千住から取手、水戸、磐城平、原町、岩沼とつなぎ、東北最大都市の仙台とを結びました。

 陸前浜街道で取手とつながる福島県浜通り北部の相馬地方は、10年前の東日本大震災で、津波と原発事故により大きく被災しました。昨日は陸前浜街道に立ち、道の行く先に復興途上の被災地があることを思い、10年という時間を改めて考えさせられました。

 取手と相馬地方。そのつながりは道だけではなく、歴史をたどればもっと深いつながりもあります。取手はかつての下総国相馬郡で、福島県にある相馬郡のルーツとなる土地なのです。下総国相馬郡は、利根川を境に茨城県側の北相馬郡と千葉県側の南相馬郡(のちに東葛飾郡)とに分かれ、今では町村合併が進んだことで取手市の東側にある利根町だけが北相馬郡を名乗りますが、福島県相馬郡は新地町と飯舘村があり、さらに相馬市や南相馬市など、地名として引き継がれています。

 2つの相馬郡は古くから交流が続けられてきたそうで、そのつながりは東日本大震災の時にも。原発事故で避難を余儀なくされた南相馬市からは、多くの方々が取手に避難されました。

 相馬地方は私自身も何度か訪れたことがありますが、実際に街を歩いたのが最後となったのは震災の5年前。写真左は相馬市の中村神社、右上は相馬駅、右下は新地町の釣師浜漁港、それぞれ当時私が撮影したものです。訪れたのはちょうど桜の季節で、街の至るところでピンク色に彩られた風景を目にしました。釣師浜漁港は、太平洋を見るために新地駅から歩いて向かった思い出の場所。昼下がりの漁港はのんびりとした雰囲気で、数年後の大津波でこの風景が一変してしまうことになるとは、想像すらできませんでした。

 新地町は津波の被害が特に大きかったところで、常磐線の線路も内陸側へ移設して復旧させるほどでした。町並みは大きく変わったことでしょう。全てがリセットされたように、別の風景になってしまったかもしれません。震災以降は相馬地方に足を運んでおらず、私の中では震災前の風景で止まったまま。現実を知るためにも、いずれ機会をみて再訪したいと思います。

 つながりの大切さを考えさせられた10年前の大震災。お墓づくりを通じて家族や故郷とつながる場所をつくるのが石屋の仕事だと考えています。これからも初心を忘れずにやっていきたいと思います。

東日本大震災前の中村神社、相馬駅、釣師浜漁港
   

   

 3月10, 2021 街道の道標

 
 お墓が石で建てられる大きな理由の一つに、その恒久性が挙げられるかと思いますが、石は他の材料と比べ、屋外環境で変化しにくい性質があるので、お墓だけではなく、後世までずっと残しておきたいものや、変化してはならない大切なものを、石で作るということは昔から行われてきたようです。

 街道に建つ道標(みちしるべ)もその一つ。江戸時代に整備された五街道や脇往還では、江戸からの(までの)距離を刻んだり、追分と呼ばれる分岐点で道案内を刻んだりするのに、石標が建植されました。歌川広重作の浮世絵作品「東海道五十三次」には江戸時代の宿場風景が描かれていますが、戸塚宿(現在の神奈川県横浜市戸塚区)の風景では、橋の袂に「左りかまくら道」と書かれた石標が道標として建っています(資料)。ちなみに、その道標は現在、近くのお寺で保存されているようです。

 サクマサーベイの事務所がある取手も、水戸街道(陸前浜街道)の宿場町。江戸時代には大名をはじめ、多くの旅人が行き交っていたことでしょう。取手宿から次の藤代宿へ向かう道筋は、利根川と小貝川とに挟まれた低地で、大雨が降れば水没してしまうことも多かったようですが、今は河川改修と農地改良により水田風景が広がっています。その旧街道沿いにもありました。「江戸十一里」「水戸十八里」と刻まれた石の道標(写真左)。広重が描いた戸塚宿の道標と同じ形です。道標はやっぱり石が似合います。

 この道(写真右)が行く先は東北。明日は、東日本大震災から10年となる日です。この地震で茨城や千葉も被災しましたが、それ以上に深刻だったのは言うまでもなく、津波や原発事故で大きな被害を受けた東北です。この続きは明日のブログに書きたいと思います。


取手市内に残る道標かつての水戸街道
   

   

 3月9, 2021 相続人とお墓の承継者

 
 お墓は遺骨を納める場所であり、その手続きは「墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)」などにより、法的に定められた手順を踏む必要があります。難しく思える法律の中身ですが、お墓を守っていく上でどうしても関わらなければならないこともあるのです。納骨の際に墓地の管理者に埋葬許可証を提出したり、改葬を行なうために自治体の窓口に改葬許可申請をしたりするのも(写真イメージ)、霊園がルールを決めているのではなく、あくまで法で定められていること。今日は法律の面からお墓を見てみたいと思います。

 墓地の使用者が亡くなるとそのお墓は誰かが承継することになります。通常はご家族の誰かになるでしょうか。少子化と言われるように「子どもがいないから」という理由で、お墓を承継できないと考えるご家族も少なくありませんが、承継できるのは子どもに限らないのです。

 お墓の承継について、民法897条に「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。」とあり、前条の規定、すなわち民法896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」から、相続財産とは別に考えます。

 相続財産の場合は、相続人の順位や相続分が法で定められており、共同相続が認められていますが、家系図、仏壇、神棚、お墓などの祭祀財産は897条で別に規定されているように、共有や分割の例外になっており(分割を認めた判例はある)、遺言で承継者の指定がなかったとしても、法定相続分や相続財産の遺産分割協議とは別に考えることができます。

 例えば、故人に子どもが1人いるが、いずれ継ぐ人がいなくなるからということで、早いうちに他の親族(相続財産の相続人ではない親族)にお墓を承継してもらう、ということも可能。難しいと感じる法律も、お墓の負担を減らす手助けになってくれることもあるのです。ちなみに相続財産とは別の考えなので、お墓は相続税の課税対象にもなりません(生前に建てると相続税対策になります)。

 なお、霊園の使用規則等で承継者の範囲を具体的に定めているところもありますのでご注意ください。都立霊園では原則親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)とされています。

お墓に関わる法定手続き
   

   

 3月8, 2021 雨の日のお参り

 
 今日の関東地方は、冷たい雨が降り続く1日になりました。春が近づいてきたと思っていたら、冬に逆戻りです。お彼岸期間の混雑を避けるために、一足早くお墓参りされる方もいる3月上旬。さすがに今日のような日はお参りされる方も少なかったことと思いますが、故人の命日であったり、故人との大切な記念日だったりすれば、雨が降ろうとも、寒かろうとも、どうしても今日お参りする意味がある方もいるでしょう。お墓参りは精神的な行動であり、不要不急の外出に該当しないこともあるのです。

 雨の日のお参りで気を付けなければならないのは、転倒事故です。石の表面が濡れると、靴底と石材の間にできる水の層により摩擦がなくなり、みそ汁のお椀がテーブルの上を滑るのと同じ現象で、とても滑りやすくなります。もし転倒すれば、周囲は硬い石材に囲まれたお墓。石材の角もあります。大けがにつながることも考えられます。

 現在は、石材表面を磨き加工で仕上げることが一般的になっています。また雑草対策の面から全面石張り構造のお墓にすることもありますが、雨の日に滑りやすくなることは、石張りのお墓のデメリットと言える部分です。中には、磨き加工の敷石の一部をビシャンや小叩きで仕上げて、滑り止め対策を図っているお墓もありますが、中途半端な加工(凹凸が小さい、面積が小さいなど)ではほとんど効果はなく、石材に汚れを付着させるだけの結果になってしまった例も少なくありません。それだけ雨の日の石は滑りやすいのです。

 雨の日や、雨上がりの翌日のお墓参りでは、歩幅を小さくしてゆっくり歩くことと、掃除などで無理な体勢をとらないことが大事です。

雨上がりの霊園イメージ
   

   

 3月7, 2021 トータルコストの意識

 
 お墓を建てる時には、複数の石材店から見積りをとったりして、その費用を十分に検討される方は多くいるかと思いますが、建てた後の費用のことまで考えた墓守のトータルコストを意識される方は、じつはあまりいないのでは、と感じています。これは石材店側にも問題があって、墓石工事の契約をとるために、建てた後のメンテナンスコストよりも、お墓を建てる工事費が少しでも安くなるプランを提案した結果、お客様がその金額だけの判断をしてしまう、というようなケースが挙げられます。

 例えば、石張りのお墓と砂利敷きのお墓。使用する石の量が増える石張りのお墓の方が一般的に工事費は高くなります。しかし、長期的な視点ではどうでしょうか。お墓参りのたびに草取りをし、砂利をふるう。数年に一度は砂利の補充や交換をする。敷石部分の面積にもよりますが、建てる時に工事費を抑えられる砂利敷きのお墓も、何年か経てばトータルコストで石張りのお墓を上回ることになるでしょう。

 また、設計者として最近気になっているのは、現場にそぐわない構造のお墓が見受けられることです。石の量を減らすために、土盛りレベルを周囲のお墓よりも極端に下げた構造にするなど、現場を見るという大切なことが軽視されているのか、低価格を追求するあまり、ゴミや落葉が溜まりやすいお墓になってしまったり、排水の機能や石の変色リスクを考慮していないお墓になってしまったり。霊園に建っているお墓を見ながら、疑問に感じる事もあるのです。

 建てた後のメンテナンスは、目地や砂利だけではありません。写真のように彫刻した文字や家紋に白色などのペンキを入れているお墓では、色が落ちれば再度色を入れるということも出てきます。さらに広範囲に捉えれば、納骨の時に追加で戒名を彫刻したり、霊園に納める年間管理料、お墓参りの時の供花や線香代、往復の交通費。法要の時に住職へお渡しするお布施など、これらもすべて建てた後にかかる費用の一部となります。

 建てた後の負担を減らすためには、様々な場面を想定する必要があります。そして、それがお墓を建てるご家族にとって必要なものなのかどうか。お墓づくりのプランを提案する立場にある者として、墓石工事の内容だけではなく、建てた後のことまで、ご施主様と十分に話をしていければと思っています。

彫刻の色入れもメンテナンス
   

   

 3月6, 2021 品質とコストの両面から

 
 昨日のブログでは、目地がお墓の弱点箇所になると書きましたが、これは構造上どうしても避けることができず、また、建てた後にいずれメンテナンスが必要になる箇所でもあります。しかし、設計次第でその負担やリスクを軽減させることは可能。すなわち、目地の箇所を減らすということです。

 五輪塔や灯籠などのように、いくつもの細かな部材からなる複雑な造形物はもちろん、墓所の周りを囲んでいる外柵も、写真(左)のような従来のお墓では、小柱を配した部材数の多いデザインが見られます。そうしたお墓では、適切な時期に目地補修などのメンテナンスをしておかないと、各部材が比較的細かな部材であるため、様々な外的要因によりグラついてしまったり、外れてしまうことにもなりかねません。

 目地を少なくするために、例えば外柵なら、写真(右)のように、小柱を挟まずにそれぞれ1本物の羽目で通せば達成できます。いわゆる長尺物ですが、あまりに長すぎると部材の重量が増し、運搬コストがかかったり、石種によっては原石の大きさから、サイズ的にそもそも採ることができなかったりもします。また、長手方向の長さに対して厚みが薄い場合、加工や運搬、据付などの各工程で、割れてしまう恐れもあります。

 ここにバランス感覚が求められるのです。施工品質の確保とコストダウンを高いレベルで両立できるポイントを探しながらお墓の設計をし、墓石工事のプランを作り上げていくこと。容易なことではありませんが、私としては、そこに石屋の存在意義があると考えており、お墓の設計を大切にする理由の一つにもなっています。

部材の数が多ければ目地も増えるコストとのバランスで考える長尺物
   

   

 3月5, 2021 目地に注目

 
 石で建てるお墓は、いくつかの部材を組み合わせてつくられるため、各部材の寸法やカネ(直角)に生じる誤差が大きくなればなるほど、施工品質は低下します。カネが良くないと目地に段差ができたり、目地幅にばらつきが出てしまうことは昨日のブログで紹介しましたが、目地という部分はお墓の弱点箇所であり、お墓の状態が出やすい場所なのです。そのため、目地を見るとお墓の状態がわかることもあります。

 例えば、お墓の傾き。植栽の手入れが不十分で根が石を押していたり、地震の影響を受けて部材が傾いたりすると、その箇所だけ目地が外れて、広がります。見た目ではお墓に傾きがないように思えても、目地が広がっている箇所に水準器を置くと、傾いていることは結構あります。お墓参りでお墓の掃除をしながらセルフチェックをする際は、目地に注目してみて下さい。

 ここまででお気づきの方もいるかと思いますが、目地が切れているから目地の補修をしなければ、と考える前に、目地が切れている原因を明らかにしなければならないのです。原因の追及を疎かにすると、無駄な費用をかけた上に、改善されないメンテナンス作業をすることになってしまいます。

 「目地が切れているから補修してほしい」と、石材店がお客様からメンテナンスのご依頼を頂いた時、頼まれた目地補修を淡々とやって終わりにしてしまう石材店なのか、なぜ目地が切れているのか原因を突き止めた上で対応する石材店なのか、その結果に大きな違いが出るでしょう。サクマサーベイは常に後者でありたいと思います。

目地はお墓の状態が出やすい箇所
   

   

 3月4, 2021 カネの話

 
 カネと言っても、お金のことではなく、石屋でカネは「矩(さしがね)」のことで、部材の角が直角になっている四角形「矩形(くけい)」を意味しています。昨日のブログで菱形について書きましたが、菱形は4辺すべて同じ長さの平行四辺形。お墓を建てる時に、それぞれの部材の間口と奥行の寸法があっていても、角が直角になっていなければ、精度の高いお墓は建てられません。平行四辺形ではダメなのです。

 カネが良くないと、部材同士の接合部となる目地のところで、段差が生じてしまったり、目地幅が一定に保てなくなります。カネの確認には、曲尺(かねじゃく)を使います。この物差しは、指金(さしがね)とも言いますが、直角に折れたL字型の金具に、目盛が刻まれたもの。これを部材の角に当てて、曲尺と部材2辺の間に隙間が生じなければ、カネがとれていることになります。写真のイメージです。

 一方で、墓地が変形区画の場合は、直角にならない場合もあります。この時は、その角度に合わせて部材を加工し、据え付けることになります。いずれにしても、現場条件に合った設計をし、設計図面に合った部材を加工、そして据え付けるという、基本がすべてなのです。

部材の直角を確認する曲尺
   

   

 3月3, 2021 菱形の家紋

 
 今日はひな祭り。娘を持つ親として大切にしたい行事ですが、この行事に食べられるものに菱餅があります。緑と白とピンクの3色の菱形の餅が重なった(地方によって色の種類や数に違いがある)菓子ですが、これは形だけではなく、元々は白色の部分に植物の「菱(ヒシ)」の実も入れていたそうです。

 菱という植物は、池沼に自生する水生植物で、水面に浮かぶ葉の形が菱形になっています。この菱という植物に由来しているという説もあるのが「菱紋」と言われる菱形図案の家紋です。繁殖力の強い菱には、子孫繁栄の願いを込めているとも言われます。

 墓石のデザインは時代とともに幅が広がり、従来の和型墓石だけではなく、洋型墓石も一般的になりました。そんな中にあっても、家の象徴である家紋を彫刻される方は意外と多く、特に花立や水鉢などに刻まれます。家紋はそれぞれの家系で大切にされてきたもの。たとえ墓石デザインが革新的であっても、そこに伝統的な家紋を敢えて彫刻するご家族がいるということは、お墓を家族の特別な場所(シンボル)として捉えてくれているように感じられ、お墓づくりに携わる石屋としても、ありがたい気持ちになります。

 さて、石屋なので様々な家紋を目にする機会がありますが、菱形を取り入れた家紋はとても多く、特に「武田菱」はご存知の方も少なくないはず。戦国大名として名高い武田氏が使用していた家紋で、菱形4つを組み合わせて1つの菱形にした「割菱」と、4つの花びらを組み合わせて菱形とした「花菱」とがあります。

 ちなみに、武田氏が拠点としていた山梨県甲府市の市章も、武田菱をモチーフにした菱形のデザインになっています(甲府市公式ウェブサイトより)。写真は、甲府にある武田神社境内で見られる武田菱(割菱)です。

   

   

 3月2, 2021 お墓参りでお墓の点検

 
 お墓参りは何もお彼岸やお盆などに限られる特別なものではなく、本来は日常生活の一部にあるべきものですので、3月だからというわけではありませんが、石屋としてはお彼岸に向けての準備を整えなければならない時期になりました。故人を供養するために毎日お参りされる方もいますが、お墓までの距離やスケジュールの都合で、毎日お参りできない方のほうが多いでしょう。そんな方でも、お彼岸の時くらいは…という気持ちで、お墓参りされるのだと思います。

 お墓参りでは、まずお墓の掃除をして、それから花やお供え物、最後に線香を上げて手を合わせます。雨風に耐えながら建ち続けるお墓。お墓の掃除をしながら、お墓の状態を確認することも大切です。墓石が傾いたり、ぐらついたりしていないか、目地は傷んでいないかなど、気がついたら早めに処置することが、メンテナンスの鉄則。地震に備えることにもなります。建墓からの経過年数にもよりますが、数年に一度くらいは専門家である石材店にお墓を見てもらうのもよいかと思います。写真は、経年劣化によりクラック(ひび割れ)の入った例。

 サクマサーベイで墓石工事をさせていただいたお墓であれば、工事保証の一環としてお墓の定期点検を実施しておりますが、他の石材店で建てられたお墓でも、都立霊園や市営霊園などの公営霊園や、指定石材店制度のない共同墓地などであれば、サクマサーベイでお墓の診断を承ることもできます。お墓参りされる方が多いお彼岸の時期は、いつも以上にスムーズな対応をしていく考えです。石屋だから気が付くこともあるかと思いますので、お墓参りで少しでも気がかりな箇所がありましたら、安心につなげるためにも、お気軽にお問合せ下さい。

 さて、都立八柱霊園でのお彼岸期間中の開門時間変更について、先日公式発表がありました。これに合わせて、サクマサーベイのウェブサイト内「八柱霊園お墓参り情報」のページも更新しましたので、お墓参りの予定がある方にご活用いただければ幸いです。

クラックの入ったお墓
   

   

 3月1, 2021 弥生の手入れ

 
 3月は弥生。「木草弥生い茂る(きくさいやおいしげる)」に由来するそうで、冬から春へと季節は移り、いよいよ草が生い茂ってくる月になるということでしょうか。しかし元々は旧暦の3月を意味していたため、現在の暦で言えば、おおよそ4月から5月上旬にかけての時期となり、おおよそ1か月のズレがあります。

 つまり、春のお彼岸以降からの時期になります。確かに桜が咲き、草木が芽吹き、春らしい風景が本格化するのはお彼岸の頃からです。同時に、雑草との戦いが始まる時期でもあります。

 季節の変わり目となるお彼岸のお墓参りでは、しっかりお墓の手入れをしておきたいところです。全面石張りのお墓であれば、基本的には墓所内に雑草が生えない構造ですが(劣化した目地などから生えることはあります)、砂利敷きのお墓であれば、手入れが必要です。

 例えば、風で飛来した砂やゴミ、雑草の種子などを取り除くために、砂利をふるったり、洗ったり。砂利の下に防草コンクリートを張っていても、飛来してくる砂や種子により、雑草が生えることもあります。

 経年による細粒化などで砂利の量が減少していれば、砂利の交換や補充が必要かもしれません。また、土の表面が砂利で隠れていても、問題なのはその厚みで、雑草の抑制を目指すなら3センチ位の厚みはほしいところです。

 砂利は大きいものよりも小さいものの方が、空隙が小さくなるため(言うなれば、ぎっしり敷き詰められたイメージ)、防草効果の面では有効です。しかし、お墓に敷かれる砂利はその粒の大きさはもとより、色や形(黒玉、白玉、五色など)、光沢の有無によっても、お墓の印象を決定づけることになりますので、墓石や植栽との相性を見ながら選ぶこともポイントです。

 今月は春のお彼岸もありますので、お墓参りにお役立ていただけるような記事も書いていければと思っています。

砂利の補充をすることで防草効果が向上する
   

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