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E宗教や慣習と供養を考える

時代に合った考えで供養の場所を守る意義






宗教由来の和型からデザイン墓へ


 この世とあの世。仏教では此岸と彼岸。他界した故人を埋葬し、供養する場所となるお墓は、自身の死生観に大きな影響を与える宗教の教えと密接に関係しています。その宗派や地域によって、墓石の形状や儀礼などに違いがあるものの、仏教や神道、キリスト教などの宗教では、墓石を建てることも一般的。そして、供養や追悼の場面では宗教者が儀礼を司り、教典(例えば、仏教ではお経)を読み上げるなどして執り行われます。

 日本では、仏教の流れでつくられた「和型」と言われる石塔のお墓がそのイメージとして定着しています。和型の成り立ちを遡っていくと、インド仏教の「ストゥーパ」にたどり着きます。ストゥーパはお釈迦様の遺骨(仏舎利)を納めた墳墓でドーム状の外観が特徴。ストゥーパは卒塔婆(そとうば)の語源でもあり、法要で立てる卒塔婆の形状を見ると、ドーム型の墳墓から続くその流れを知ることができます。

 最近では高さを抑えた「洋型」というタイプや、ご家族のオリジナルとなる「デザイン墓石」も多く見られるようになりました。背の低い洋型の石塔は、和型よりも使用する石材の量が少なく、費用を抑えられるイメージがあるようです。また、和型よりも重心が低くなることから、耐震性への期待が持たれて受け入れられてきた一面もありますが、施工方法はもちろん、地震の種類(揺れ方)によっては、必ずしも耐震性があるとは言い切れませんし、建てた後の適正なメンテナンスも課題になるでしょう。

 話をもとに戻しますと、洋型や個性あふれるデザイン墓石が見られるようになった背景には、宗教に対する考え方の変化が大きいかと思います。宗教を厳格な形で受け入れるのではなく、時代に合った取り入れ方、最低限の関わりにとどめ、それよりも費用やデザイン、機能(例えば耐震性)を重視したお墓を望むご家族が増えてきた結果なのではないか、と推測できます。



宗教心と信仰の間で


 日本人の宗教観はどのように変化してきたのでしょうか? 墓じまいやお墓不要論と関係しているのでしょうか? 統計データ(※)を見ると、「宗教心は大切だ」と考える人の割合よりも、「宗教を信じる」人の割合は低くなっています。
※『日本人の国民性調査』(2013年)統計数理研究所

 宗教心の大切さは理解しつつも、信仰するほどの存在にならないという矛盾は、普段宗教を意識していなくても、仏教式で葬儀や回忌法要を執り行う人がたくさんいるところに表れています。心のどこかで、宗教に則らなければ祟りが起きるのでは?そんなことを考えてしまうのでしょうか。

 しかし日常生活の中で宗教との関わりが薄まってきているからか、寺墓地にお墓を持っている人がお寺から寄付を求められると途端に、金銭的な拒絶反応を示すことは、何となく想像できます。これが墓じまいの要因になってしまうのも無理はありません。

 檀家と菩提寺の関係は、先祖からつながるこれまでの家族の歴史に大きな役割を果たし、お墓は家族の象徴(シンボル)としてあり続けてきました。時代が変わったと言って、「寄付が嫌だ」「お墓いらない」となるのは、やや強引な考えにも感じます。「費用負担で子どもに迷惑をかけたくない」という気持ちなら、金銭的な負担を減らすお墓づくりも選択肢になります。



宗教とのかかわりを再考する

 少し見方を変えて、宗教を完全に避けるのではなく、時代にあった宗教との関わり方を考えることで、日々の生活にプラスの作用をもたらしてくれる可能性も出てくるのではないでしょうか。初詣に行ったり、寺巡りが好きな人は少なくありません。その行為は何気ない宗教との関わりかもしれませんが、境内に足を踏み入れた時、自身の心に何かしらの影響を与えているはずです。

 ストレスの多い現代社会。お墓も家族の聖地として守ることで、困難に直面したときに故人と向き合える場所になります。宗教観の変化を理由にお墓を手放すのではなく、この時代だからこそ必要とされるお墓づくりを目指すのも一つの考えです。無理なく供養を続けていける方法。宗教や慣習の上手な取り入れ方。そんな視点も負担を軽減するお墓づくりに活かすことができます。

 お墓参りで故人と向き合い、自分へと続く家族のつながりを体感し、自己を振り返る。生きる意味を確認し、決意を新たにする。それが明日への活力にもなります。先祖供養の場であるお墓は、お参りする人の心も潤してくれるのです。宗教との関わりが深いお墓だからこその効用があると考えます。

寺院境内イメージ

日本各地に点在する古刹・名刹。お寺への参拝で得られる精神的な安らぎは、お墓参りにも通じる。価値観の多様化が進み、宗教や慣習への意識が薄まってきた現代の暮らしにあっても、様々な年中行事で宗教に触れていることは多い。檀家と菩提寺の関係も、金銭面以外の視点で見直したい。
 
お墓参りイメージ

宗教や慣習に負担に感じ、お墓を手放してしまうくらいなら、形式にとらわれずにそれぞれの家族の想いで供養を続けることに意味がある。その場所を守ることが大切。家族のライフスタイルや価値観に合わせて宗教や慣習を上手に解釈し、取り入れることを考えていきたい。


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