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G家族と地域社会を考える

お墓問題の視点から考えるこれからのつながり






つながりが守る生活風景


 農村部へ行くと、今でも同じ表札を掲げた家が集まる地区があります。本家と分家の関係なのでしょうか。かつて、本家を継ぐのは長男とされることが当然のように考えられ、次男や三男は分家として独立することに。しかし、先祖から受け継いできた土地を守りながら、農業を生業としていくために、分家も本家の近くに構えることが多かったのです。農業は人と地域の助け合いで成り立ちます。

 都市部と比較して、農村部では地域内のつながりが強固で、外部に対して閉鎖的な社会だと言われることがあります。これも、農業を基幹として助け合ってきた地域のコミュニティが存在するからに他なりません。その中で伝統的な風習や行事も続き、例えば民俗信仰の「講」という宗教行事もその一つ。農村部では特に、家族や年齢という枠を超えて、地域で集まる場を大切にしてきたのです。

 こうした地域のつながりが農業を支え、土地を守り、美しい風景をつくってきました。しかし、戦後の高度経済成長で第一次産業の割合が小さくなり、都市部での仕事を求めて農村部から若年層を中心に人口が流出。進学のために故郷を離れたままUターンしない若者も増えてきたことで、農村部では過疎化が生じ、高齢者の割合が大きくなりました。今ではコミュニティの維持が難しくなり、存続が危ぶまれる集落も。故郷の風景は急激に変わりつつあります。



多様な価値観の土台となる家族


 一方の都市部では、昭和から平成にかけて人口が集中。両親と子ども、2代までの核家族を中心とした家族構成になりました。故郷を離れて家庭を持った団塊世代では、大都市郊外の新興住宅地に自らの住まいを構えるケースが増えて、満員の通勤電車で時間をかけて出勤するという光景が日常に。住まいと職場が離れることで、農村部にあったような地域のまとまりよりも、個々の暮らしを中心としたライフスタイルに移行したのです。

 戦後の復興を果たし経済が豊かになるにつれて、ライフスタイルや価値観も変わってきました。晩婚化、未婚化、少子化、そして人口減少社会へ。今、深刻な高齢化を迎えています。また、戦後の急激な国際化と、IT社会到来によるボーダレス化は、周囲との協調や調和を大事にしてきた日本人の価値観にも影響を与え、価値観の多様化とそれを受け入れる社会環境の広がりが顕著に見られるようになりました。

 オンラインで瞬時に結ばれる関係によって、生活様式は数十年までと比べても劇的に変化。その中で家族や地域社会とのリアルなつながりは維持できているでしょうか? 東日本大震災や新型コロナウイルス感染症など、社会の危機的状況を経験し、人生の歩み方を再考した方も少なくないでしょう。本当に大切なこと。守るべきもの。人それぞれあるかと思いますが、そのベースにあるのは、やはり「家族」ではないでしょうか。



家族や地域にお墓が貢献すること

 昭和から平成・令和へと時代が移り変わる中で、家族の形態やライフスタイルが変化、多様化し、先祖から続く家族や地域とのつながりを意識する行事や風習に触れる機会も減ってきました。それにはお墓参りも含まれるでしょう。

 それらが遠因になっているのか、自分がここにいる意味を見い出せない、生きる目的や目標がわからない、そんな彷徨う人も少なくありません。社会を震撼させる凶悪な犯罪はなぜ起きるのでしょうか? そして、お墓いらないと考える人がなぜ出てきたのでしょうか? お墓を手放すのは、承継者がいない人ばかりではありません。供養を放棄することに何の抵抗も持たない人です。

 一方で、お墓に価値を持つ人もたくさんいます。その違いはどこにあるのでしょうか? 子どもに負担をかけるのは、お墓参りしながらお墓を守ることなのか、それとも、故人(いつかの両親)と向き合える場所を奪われることなのか。親として子どもに教えること、残すもの。今こそお墓に目を向ける時だと考えます。

地域社会での民俗信仰イメージ

地域に残る庚申塔や二十三夜塔は「講」という宗教的な集まりの中で建てられたもの。民俗信仰が地域のつながりを強め、故郷を守ってきた一面がある。先祖代々のお墓も同じ。建ち続ける墓石でその歴史に触れ、墓誌に刻まれた戒名で自分へと続く先祖を知る。お墓は家族のつながりを体感する場所だ。
 
新興住宅地と核家族イメージ

故郷を離れた団塊世代が住まいを構えた大都市郊外の新興住宅地。今では子どもが街を離れ、同世代の核家族が中心だった街では急速な高齢化・過疎化に直面している。昭和から平成にかけての日本の産業構造の変化は、家族と地域社会のつながりを大きく変えた。


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