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F故郷のお墓を考える

お墓がつなぐ故郷の風景






お盆行事に見る故郷とのつながり


 お盆に故郷へ帰省することは、故郷を離れて生活する日本人ならば、多くの人が経験しています。なぜお盆に合わせて実家へ帰省するのでしょうか? 学校は夏休み、職場はお盆休み。長期連休の時くらいしか、遠方の故郷へ帰れないし、家族が一同に顔をそろえる機会が持てないから、という理由も大きいとは思いますが、なぜお盆に長期連休を取るのか、混雑した鉄道や道路を利用してまで帰省するのかを考えれば、言うまでもなく「お盆」だからなのです。

 お盆とは一体何でしょうか? お盆は、仏教の盂蘭盆経をもとに奈良時代の朝廷で行われていた「盂蘭盆会」(うらぼんえ)という法会に由来し、これが簡略化され庶民に広まったもの。お盆には「ご先祖様が家へ帰ってくる」と考えられており、お墓参りをして提灯の明かりで自宅まで導いたり、迎え火を焚いて自宅の場所を示したりと、お盆に残る風習は、帰ってくるご先祖様が道に迷わないようにとの願いからです。

 お盆期間はご家族そろって食事を囲むなどして、久しぶりの和やかな時間を過ごしながら、ご先祖様を供養します。この風習があるからこそ、家族や故郷とのつながりを深めることもできます。家族が集まる理由、帰省する理由、その理由をつくっているのがお盆であり、故郷であり、お墓なのです。



故郷のお墓を取り巻く厳しい環境


 ここでは大都市圏に対する地方都市あるいは農村部を故郷に想定しますが、昭和から平成、令和へと時代が流れるとともに、様々な社会問題を背景として故郷の姿は大きく変わりました。人口流出による過疎化、そして少子高齢化。子どもたちは進学や就職に合わせて故郷を離れ、そのまま戻らず結婚して、都市部を生活の拠点に。高齢になった両親だけが故郷に残されます。

 両親が健在のうちは、故郷のお墓を守る人も近くにいるわけですが、その両親が他界してしまうと、すでに故郷を離れた子どもたちにとっては、墓守の負担が大きなものになってしまいます。そこで「墓じまい」という言葉が頭をよぎるわけです。現在、終活に関心を持つのは、高度経済成長に合わせて故郷を離れた団塊世代が中心になっています。終活の一環として墓じまいに関心が向けられるのも無理はありません。

 何の手も打たずに先祖代々のお墓が放置され、すでに無縁墓化してしまっているお墓も日本各地にあります。無縁なので、そのお墓に納められている遺骨の縁故者と連絡が取れない状態。空き家や所有者不明土地のように、不動産でも同じような問題がありますが、時間の経過の中で何度かの相続が発生してしまうと、事情を知る人がわからず、相続人を追いかけられなくなってしまうのです。登記簿がある不動産でさえ難しいことを考えれば、お墓の場合はなおさらです。



故郷をつなぎとめるお墓づくり

 一つの家族だけの問題で済むならまだしも、こうした問題を抱えているご家族は、過疎化や少子化が進む中で少なくありません。人が住まなくなり、生活の営みがなくなった場所は荒廃します。これが地域全体に広がっていくと、故郷の風景が失われることになります。

 近くでお墓を守る人がいなくなったことで、墓じまいして別の場所へ改葬することは、これからもご家族で供養を続けていくための選択であれば、墓守の負担を減らす効果的な方法です(承継者がいるのに合葬墓へ移すのは単なる供養の放棄です)。これ以外に、敢えて故郷のお墓を残すことも考えられます。

 敢えて残すとは、どういうことでしょうか? お墓参りの間隔が空いても安心できるお墓、例えば雑草の生えないお墓にリフォームして、年に1・2回、家族旅行も兼ねてお墓参りへ出かける、そんなお墓とのつきあい方もあるのです。故郷とのつながりも維持できますし、自分のルーツとなる場所を残すことにもなります。家族の絆も強まるでしょう。

 自宅近くにお墓があっても、毎日お参りできる人は限られます。日々の暮らしが忙しく、お彼岸やお盆だけという人もいます。それならば考え方次第で、墓じまいせずにお墓との関係を180度変えてみるのはいかがでしょうか。

故郷の風景イメージ

山も田畑も町並みも、故郷の美しい風景はそこで暮らす誰かが守っている。故郷を離れてしまった人にとって、帰省する理由の一つがお盆。先祖供養の場が家族と故郷をつなぎ、その中心にお墓がある。無縁墓や空き家の問題。このまま進行すれば、大げさだが、故郷の風景は無くなるかもしれない。
 
故郷のお墓イメージ

故郷に建つ先祖代々のお墓は、家族の歴史がこの地で続いてきた証でもある。現在の生活から遠く離れた場所であっても、墓守しやすい構造のお墓にリフォームするなどの工夫で、敢えて故郷に残す選択も。美しい風景の中で、自分のルーツとなる場所を守っていくのも素晴らしいこと。


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