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H地域活性化や街づくりを考える

価値を見出して再生させる視点とは






故郷の風景が消えていく


 少子高齢化による人口減少社会に突入した日本各地では、それまでから存在していた過疎化の問題がより一層深刻になってきました。これは戦後の高度経済成長期に大都市圏への人口流出が進んだ地方都市やその周辺にある農村部に限らず、もはやどこでも起きうる問題に。東京圏でも、大規模なニュータウン開発が行なわれたベッドタウンでさえ、人口減少による街の空洞化に直面しているようです。

 街も家族も、代替わりをすることで時代を超えて継承されます。職場への通勤時間がかかろうとも、自らの住まいを持ちたいということで、かつて団塊世代が住まいを構えたベッドタウン。しかし、その子ども世代である団塊ジュニアは実家に残らず、自らも別の場所で生活を持つケースが多く見られます。

 家族で世代を超えた定住が進まないと、地域としては新規の人口流入に期待するしかありませんが、最寄り駅や職場までの遠い距離がそれを阻みます。開発で生み出された地区は地形に起伏がある場所も多く、新しい住民ばかりか、これまで暮らしていた人も高齢になり、様々な負担を感じて街を離れてしまうことも。大都市圏でこうした状況ですので、地方ではより深刻です。

 人が少なくなると交流が小さくなり、経済が衰退します。生活に身近なところで言えば、例えば自宅から歩いて行ける距離にあった商店が閉まります。車を運転しない高齢者は生活に大きな支障が出て、子供の近くへ移ろうか、そんな考えになるかもしれません。こうして、ますます過疎化が進んでしまうのです。そして、人がいなくなった後はあらゆるものが荒廃していきます。田畑は草木で覆われ耕作不能に、空き家は朽ちて地震や大雨で崩れ落ちてしまうかもしれません。故郷の美しい風景が消えてしまうのです。



古い町並みで地域活性化


 日本では多くの都市で同じような風景が広がっています。旧市街地を迂回するようにバイパスをつくり、ロードサイドの店舗が建ち、どこにでもある看板が並びます。人通りが減った元々の市街地は、高齢化の影響もあり空洞化。かつての城下町や宿場町として繁栄してきた個性ある街では、その歴史的な町並みが失われてしまったところも数知れません。「らしさ」を持たない画一的な風景では、敢えてこの町に暮らしたい理由が小さくなり、より生活が便利な地域へと人は流れてしまいます。

 市街地の交通渋滞の解消や地域の経済力を高めるために推進されたバイパス工事や大型店の誘致が、逆の結果を生み出してしまうこともあるのです。町並みは時に観光資源にもなります。街に賑わいを作り出します。そして、街が地域ブランドとして確立されると、そこに住む人は地域に愛着を持ち、ずっとここで暮らしていきたいと思えるようになります。

 古い町並みを復活させて観光地へと脱皮することに成功した事例としては、埼玉県川越市があります。蔵造の商家を隠していた看板などの装飾部分を撤去し、「小江戸」と呼ばれた江戸時代の町並みを取り戻しました。今では東京近郊の観光地として定着、多くの観光客で賑わっています。

 古きものに価値を持つ。古いからこそ価値があるという考え。これは、どこかお墓にも通じる部分が感じられます。そして世界的に見れば、特に欧州では町並み保存に大変熱心です。地震が少ない地域ということもありますが、首都になるような大都市であっても中世の町並みが残されていることは珍しくありません。



他にはない個性が愛着へ


 もちろんブランドだけで生きてはいけません。これからの時代を担う世代が定着するために、この街で暮らしていきたいと思えるだけの、安心できる経済をつくることが前提にあります。しかし、すでに過疎化が深刻な今、財政的な厳しさが増す中で、大規模な開発など困難でしょう。今ある街の風景に価値を見出し、それらを改善しながら発信してブランド力を高めることは、地域の賑わいを取り戻す一つの方法になりそうです。

 他の地域にはない、愛着が持てる地域の個性をつくること。そこを故郷とする人も、戻りたい、繋がっていたい、そんな気持ちになれる街づくり。これはお墓を守り続けるために、時代に合わせてリフォームすることと同じ方向性があります。少子化や過疎化など、地域問題の延長線上にあるのが無縁墓や墓じまいの問題。一緒に考えていくことが必要なのです。

旧市街地の商店街イメージ

かつて地域の中心として栄えた街は、バイパス沿いに建ち並ぶロードサイド店舗に押されて衰退。街の空洞化が進み、賑わいが失われてしまった街は日本各地に見られる。旧市街地はその街の成り立ちとも関係しており、歴史的な価値を持つことも。世代を超えて愛着が持てる個性ある街づくりが必要だ。
 
小江戸川越の町並み

蔵造りの商家が残される川越の町並みには、多くの観光客が訪れる。古いものに価値を見出し、地域の活性化につなげた好事例。過疎化により日本各地で地域経済が衰退する中では、新しい箱物に予算を投じるのではなく、地域の財産を活用した再生の取り組みも大切になる。


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