『Fukuryusui period』 お墓を考えるサクマ・ユウキの公式ウェブサイト

 ← サイトトップへ


Jローカル線問題を考える

故郷の未来を左右するローカル線






厳しいローカル線事情


 沿線の過疎化などによる利用者の大幅な減少に伴い、地域を結ぶローカル線の存続可否をめぐる議論が各地で起こっています。ローカル線建設の歴史を見ると、特に国鉄では収益性だけではなく、政治的な意味合いで当初から人口希薄地帯に鉄路が引かれたケースもあり、国鉄分割民営化の時期以降は切り捨てられる対象になってきました。

 2000年以降は主に地方私鉄の路線で廃止が進んでいましたが、2015年以降はJR各社でも廃止が目立つようになり、岩手県の岩泉線を皮切りに、北海道の日高本線、留萌本線、札沼線、石勝線、江差線のそれぞれ一部区間、広島県と島根県を結ぶ三江線などが廃止に。東日本大震災で被災した一部の路線でも、鉄道による復旧が見送られました。

 広域的な視点で必要とされた路線や、道路整備の遅れなどから代替えとなる交通手段がない地域では、公共性確保のために何とか維持されてきましたが、こうした地域でも高速道路の整備をはじめとして交通事情は大きく変わってきており、予断を許さない状況になっています。2020年のコロナ禍で鉄道各社の収益が悪化したことも、その議論に拍車をかけています。



社会環境の変化


 ローカル線の利用者が大きく減少した最初の要因は、モータリゼーションでしょう。国民の生活が豊かになり、特に地方では1家に1台というよりも1人1台くらいの感覚でマイカーを持つようになり、鉄道を利用するのは高齢者や運転免許を持たない学生が中心に。そこに近年著しく進行する少子化です。これまで定期輸送を支えてきた学生が少なくなりました。

 マイカー中心のライフスタイルに変わったことで、商業の中心も市街地外縁のロードサイドに。市街地の商店街や駅前の商店街は空洞化し、駅から徒歩圏内の経済が衰退しました。近隣地区から鉄道を利用して訪れる人が減り、鉄道の地位が低下することになったのです。

 長年にわたる様々な背景がある中で、鉄道が廃止されるかもしれない、そういう状況になって慌てて利用促進を図っても、挽回するのは難しいもの。実際に鉄道が廃止されてしまうと、主に地域の交通はバスに代替えとなります。しかし、バスになると鉄道時代よりもさらに利用者が減少する傾向はよく知られており、地域の公共交通が破綻する可能性は極めて高くなるのです。



ローカル線が次の故郷をつくる


 定時性の確保や輸送力の面で鉄道はバスよりも優れた交通機関です。一方で維持にかかるコストや地域を隈なくカバーする柔軟性という点ではバスに軍配が上がります。両者を上手く組み合わせて地域の交通体系をつくることが大切ですが、少子高齢化や過疎化といった社会問題に直面している今、自治体としても財政的に厳しい状況が続いており、やれることは限られているでしょう。

 しかし、生活の足となる地域の交通は、無くてはならないもの。それは、生きていくために必要な「移動する」という行為を支えるだけではなく、人やモノの交流を促進することで、地域の発展も支えます。定住先を選ぶとき、生活の利便性は誰もが考えること。公共交通があるかどうかは、次の世代を担う若年層の取り込みにも影響します。つまり、ローカル線問題は街の存続問題でもあるのです。

 どの街も誰かにとっての故郷。各地で起きているローカル線問題を見れば、その故郷の風景がすでに変わりつつあることは否めません。これに危機感を持ち、ローカル線の活性化に取り組んでいる地域もあります。スローライフやエコライフ、こうした価値観にマッチする鉄道は、観光資源としても、その潜在能力に高いものを感じます。

 ローカル線問題で懸念されることは、基本的な部分でお墓問題と同じです。近くでお墓を守る人がいないことに起因する無縁墓や墓じまいの問題は、これまでずっと続いてきた家族や故郷とのつながりを考える問題。次の世代へ代替わりしていける故郷のあり方を真剣に考えていかなければ、多くの大切なものがこの国から失われてしまいます。

ローカル線の終着駅

利用者の減少に悩まされるローカル線は日本各地にある。日常に溶け込む鉄道風景は当たり前には存在していけない。地域を支える生活の足を守るために各地で利用促進の活性化が考えられているが、少子化や過疎化などもあり、減少傾向に歯止めがかからない現状がある。
 
ローカル路線バス車内

バスも重要な地域交通であるが、鉄道以上に厳しい路線が少なくない。路線の再編や自治体への移管(コミュニティバス化)などが進められているが、便数や定時性の確保などで課題も多い。子育て世代の定住促進のためにも、地域交通の維持は不可欠だ。


<<< I聖地巡礼や旅行文化を考える

 ページトップ

copyright(C)2021 Sakuma Yuki all rights reserved.